にんじん舎の活動 有機農作物栽培

『ひとを活かす、ものを活かす』

無農薬・有機栽培

 農薬を使わないでやり切れる広さの畑で、発酵飼料と緑餌、残さのみを食べたニワトリの鶏糞と敷きワラは、完全発酵肥料となり、肥沃で健康な土壌を作り出します。

 完全無農薬・有機栽培を軸として作物を育てる農業を行ってきました。雑草と戦いながら、ふぞろいでも安全でおいしい作物を作りをしてきました。

 循環型の養鶏と有機農業を組み合わせは、「捨てるにはもったいないもの」を活かす取り組みの中核をなしています。


3・11 循環の仕組みが絶たれてしまった

放射性物質の拡散によって奈落の底の落とされる

 東日本大震災による東京電力福島第一原子力発電所の事故は、60km以上離れた、ここにんじん舎(郡山)にも放射性物質が拡散し、大きな被害をもたらしました。

 事故から2週間後、表土を図ったところ、14,760ベクレル検出されたのです。当時栽培していたクキダチ菜やブロッコリー、にわとりの運動場敷きワラなどにも放射能が出たのです。

 もう露地では作れない。とても悲しい気持ちになりました。

除染(再循環)への試み・作付への試み

 何とか畑の土の状態を良く出来ないかと思い、表土の入れ替え、また、植物による除染を考えました。ひまわりは、セシウムを吸い上げるのではと思い、ひまわりを蒔いて、除染しようということになりました。あまり効果がなくてもセシウムを吸い上げることは解りました。しかし、セシウムを帯びた茎などの処理をどうするかなど完全に放射性物質の除去には至っていません。

 その間農場では、丸紅基金、シルクザアースの応援をうけ、ハウスを2棟建て、ハウス内の土の入れ替えをしました。現在では、それらのハウス内で作る葉物野菜や夏野菜、全国から取り寄せるじゃがいも、たまねぎの生産、販売でお客様に旬の野菜をお届けしています。


 また、ひまわりの種には、セシウムは移行しないので、「きょうされん」からの支援を受け、ひまわりで油を絞って、ひまわりで何か仕事を興せないかと考え、ひまわりを植え続けています。

 また、ひまわりの種を全国で蒔いてもらい、収穫した種を送ってもらう「南相馬ファクトリー」や「JDF被災地障がい者支援センターふくしま」と連携して取組を進めています。


ふたたび、元気な声がひびきわたる農場へ

 にんじん舎かたひら農場には、郡山市内の保育園の子どもたちがお父さんやお母さんと「さつまいも苗植え」や「さつまいも掘り」「野菜の収穫」にきて、収穫した野菜をたくさん買っていってくれました。

 農場で仕事をする障がいのある人たちの苦手な作業を子どもたちやお父さん、お母さんたちがやってくれる。水やりや草とりはみんなでやる。持ちつ持たれつ仕事をしてきました。

 地震の前には、認知症のおじいちゃん、おばあちゃんが、学童保育の子どもたちをひざに上にのせながら、畑仕事を教える姿がありました。子どもたちとイナゴ取りをするる姿がありました。

 時間はかかると思います。しかし、あの風景をふたたびとりもどしたいと思います。